エコキュートの耐塩害仕様と一般地仕様の違いは?潮風と海からの距離が決め手
「金属は潮風に当たるとサビやすいって聞くけど、沿岸地域でもエコキュートの設置はできるのだろうか」
海の近くにお住まいの方でエコキュートの設置を検討されている方は、上記のような疑問を持たれるかもしれません。
内部・外部ともに金属が使われているエコキュートは潮風に弱いため、海岸から近い地域では耐塩害仕様(もしくは塩害地仕様)の機種(受注生産品)を設置する必要があります。
この記事では耐塩害仕様の概要と仕様の選び方、潮風があたる地域にエコキュートを設置するときの注意点をご紹介するので、購入検討中の方はぜひ最後までチェックしてください。
耐塩害仕様のエコキュートが必要な理由と各メーカーの仕様タイプ・目安納期
「海に近いところでも一般地仕様のエコキュートを設置して大丈夫なのではないか」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
耐塩害仕様のエコキュートは受注生産なので時間がかかりますし、一般地仕様のもので良ければそれに越したことはないですよね。
ここからは耐塩害仕様のエコキュートが必要な理由と、主要メーカー6社の耐塩害仕様の種類・目安納期についてご紹介ます。
なぜ耐塩害仕様のエコキュートが必要なのか
海岸に近い地域では内陸に比べて空気中の水分に塩分が多く含まれており、通常よりも金属が腐食しやすい環境になっています。
エコキュートも例外ではなく、ヒートポンプや貯湯タンクに使われている金属がサビつくことで、故障の原因になることもあるのです。
そのため各メーカーでは海に近い地域での使用に耐えられるよう、防サビ効果を高めるコーティングなどを施した「耐塩害仕様のエコキュート」も受注生産されています。
なお販売している全機種を耐塩害仕様にできるメーカーが多いので、幅広いラインナップからご自宅に合ったものを選べるのでご安心ください。
各メーカーの塩害に対する仕様と目安納期
耐塩害仕様 |
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耐塩害仕様 |
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耐塩害仕様・耐重塩害仕様 |
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耐塩害仕様・耐重塩害仕様 |
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耐塩害仕様・耐重塩害仕様 |
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耐塩害仕様・耐重塩害仕様 |
※2021年9月時点
エコキュートの主要メーカー6社における耐塩害仕様の種類と、受注から納品までの目安期間を上の表にまとめました。
どのメーカーでも耐塩害仕様のエコキュートは受注生産となっており、注文してから手元に届くまで短くても約1ヵ月、長ければ約3ヵ月の時間を要します。
海の近くにお住いの方はエコキュートを設置しようと思ってもすぐには手に入らないので、設置したい時期よりも3ヵ月以上前には販売店に相談するようにしましょう。
エコキュートを耐塩害仕様にするべきかは「潮風と海からの距離」で決まる
ここまで主要メーカー6社には耐塩害仕様と耐重塩害仕様の2種類が用意されていることをお伝えしました。(メーカーによっては耐塩害仕様のみの場合あり)
では自分が住んでいる地域に合った仕様は、どのように選べばいいのでしょうか。
ここからは耐塩害仕様の定義と、設置場所と海からの距離で仕様を選ぶ方法について解説します。
耐塩害仕様の定義
耐塩害仕様 |
潮風には直接かからないが、その雰囲気にあるような場所に設置。 |
耐重塩害仕様 |
潮風の影響を受ける場所に設置。 (但し、塩分を含んだ水が直接機器にかからないものとする) |
耐塩害仕様と耐重塩害仕様の違いを上の表にまとめました。
耐塩害仕様が「潮風が吹いてくる可能性がある」程度のニュアンスなのに対して、耐重塩害仕様は「ほぼ確実に潮風が吹いている」イメージです。
(耐重塩害仕様の方が想定される塩害のレベルが高い)
なお各メーカーの塩害仕様は、一般社団法人 日本冷凍空調協議会 JRA9002「空調の耐塩害試験基準」に準拠しています。
設置距離の目安
画像引用元:東芝キヤリア株式会社:ESTIA:エコキュートを選ぶ:HWH-B376HA-R-Z (toshiba-carrier.co.jp)
上の表はエコキュートの主要メーカーの1つであるダイキンが、設置場所と海からの距離で仕様を選ぶ基準を図に表したものです。
潮風が直接当たるところや海に近いところほど、より強い塩害対策(耐重塩害仕様)が必要なことがわかります。
外海に面する地域や沖縄・離島に関しては確実に耐塩害仕様のものが必要ですが、瀬戸内海などの内海に面する地域は一般地仕様のエコキュートが使える場合もあるので、販売店とよく相談しましょう。
塩害地域にエコキュートを設置するときの注意点
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ここからは耐塩害仕様のエコキュートを購入・設置する際の注意点について、上記3つの観点から具体例をご紹介します。
塩害地へのエコキュート設置をご検討中の方は、ぜひ購入前にご一読いただければ幸いです。
設置場所を選ぶときのポイント
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耐塩害仕様のエコキュートは、建物の陰になっていて潮風が直接当たらない場所が理想的です。
近くの海とエコキュートの間に障害物(建物など)があればその分風を受けにくく、サビの発生を遅らせることもできるでしょう。
ただし何らかの事情で潮風の当たる場所に設置する場合は、貯湯ユニットだけでも囲いを作るなどの塩害対策を検討してみてください。
定期的なメンテナンスの必要性
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耐塩害仕様のエコキュートとはいえ、絶対にサビが発生しないわけではありません。
定期的にエコキュートの状態を確認して、目視による点検を行いましょう。
くわえて表面に付着した塩分を濡らしたタオルで拭いたり、そのまま水をかけて洗ったりするのもおすすめです。
寒冷地かつ塩害地の場合は仕様をかけ合わせる
ここまでは一般地(最低気温がマイナス10℃まで)の中で塩害地に該当する場合の仕様についてご説明してきました。
しかし日本の中には寒冷地(最低気温がマイナス25℃まで)かつ塩害地の地域も存在します。
寒冷地かつ塩害地にエコキュートを設置する場合は、寒冷地仕様のエコキュートに塩害対策をしなくてはなりません。
寒冷地仕様のエコキュートは受注生産ではなく常時用意されているので、機種を選んだら追加で耐塩害仕様を施してもらえるよう、販売店に確認しましょう。
まとめ
この記事では耐塩害仕様の概要と仕様の選び方、潮風があたる地域にエコキュートを設置するときの注意点をご紹介しました。
自宅近くに海があるという方は、自宅と海との距離を調べて耐塩害仕様のエコキュートにする必要がないか確認するようにしましょう。
耐塩害仕様のエコキュートは受注生産なので納品まで時間がかかりますが、エコキュートをより長く安全に使うために必要なことなのでご理解いただければ幸いです。
主要メーカー6社すべてで耐塩害仕様のエコキュートが注文可能なので、ぜひいろんなメーカーのラインナップを見比べてお気に入りの1台を見つけてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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